『たまご大事典』
2013/09/24
『たまご大事典』（工学社 1900円＋税）
●卵に興味を持たれたきっかけを教えてください。
昔から卵が大好きなんです。以前はほとんど毎日、5〜6個は平気で食べていましたね。卵5個で親子丼のご飯抜きを作って、ビールのつまみにしていました。手羽も好きなので、鶏の天敵ですね（笑）
具体的に興味を持ち始めたのは、転勤で札幌に住んでいた時です。北海道の比布町で、かっぱの絵が描いてある「かっぱの健卵」という卵の自動販売機を見つけまして。各地の卵の名前を集めて、ホームページにまとめたら面白いかなと思って。それからですね。当時は日本のホームページがまだ少なくて、「卵」で検索しても、ほとんどヒットしなかったんです。じゃあ、作ってみようかと思い立ち、約半年をかけてコツコツと作りました。
最初に取材に行ったホクレンさんでは、「ここでは卵は扱ってないです。ここは豚肉の加工場なんです」って言われてしまって（笑）。鶏卵課っていうのを紹介していただいて、すぐ車で行きました。そこで初めていろんなものを見せてもらって。「すごいなぁ、奥が深いなぁ」と思いましたね。
●卵の業界について教えてください。
広島の福山市にアキタさん、東京にイセ食品さんという鶏卵会社があって、その２社が「西のアキタ、東のイセ」と呼ばれる２大企業なんです。最初は、ホームページに私の名前は出していなかったのですが、業界の中で「このホームページは誰が作っているんだろうか」と噂になったみたいで（笑）。イセさんやアキタさんのトップの方ともお会いして、色々とお話をさせていただきました。卵の業界というのは、ヒナを孵化させる孵化業者、ヒナを育てる育成の業者、卵を採る採卵業者、その後の鶏を処分する業者と、縦割りなんです。私のホームページみたいに横断的に書いている情報って少ないみたいで。業界に入られた新入社員の方向けの研修に使って頂いたという話を聞いた時は、嬉しかったですね。
●卵に関する豆知識を一つ教えていただけませんか？
ロングエッグという加工食品をご存知でしょうか。長いゆで卵。20cmぐらいあるんですけど、白身と黄身を別々にして、最初に外側で白身を固めて、中に黄身を入れて固めてボイルして作るんです。たまにスーパーなどのサラダの盛り付けなんかに使われていますよ。それから、ピザにも。普通ゆで卵だったら端っこが白身だけになるじゃないですか。ロングエッグは必ず黄身と白身が均一になるんです。意外と身近にこういう加工品がありますよ。以前スーパーに行って、なんか見た目がちょっとおかしいな、と思って買って帰ったら、やっぱりロングエッグでした。見つけたときは「うぉ、やったー」と思いますね（笑）。食べてみると、ちょっと食感が違うんですよね。少し「かまぼこ」っぽい。要は金太郎飴みたいな感じですよね。卵には面白い加工品がいっぱいありますよ！
●この本を通して読者に伝えたいメッセージをお願いします。
卵って生き物が産むものですよね。でも消費者の方にとって卵は、もはや工業製品のイメージなんです。きれいな卵しか見てないじゃないですか。黒い卵があったり、血が入っていたりすると非常にびっくりしますよね。だけど、やっぱり生き物が産むものなので、そういうところを理解してほしい。また、鶏はメスしか卵を産めません。じゃあ、オスはどうなるの？と……。採卵鶏（さいらんけい）の場合は雌雄鑑別（しゆうかんべつ）があって、メスはこっちのカゴ、オスはこっちのカゴって入れられて、オスは最終的に安楽死なんです。孵化させると約と52％がオスで、約48％がメスなんですね。生まれてきたヒヨコの半分以上は殺されてしまう。私たちの食生活っていうのは、動物の犠牲のもとに成り立っている。今はもう「飽食の時代」と呼ばれていますが、「いただきます」っていう感謝の精神なんかが最近薄れてきているのかなぁと思っています。「ありがたいな」と思いながら、残さずにたくさん食べてあげることが大切なんです。
●たまご大事典
http://www.hiroshima-books.com/?cn=100293
●たまご博物館
http://homepage3.nifty.com/takakis2/
